レジオネラ属菌および非結核性抗酸菌の調査結果
24時間風呂で被害があったレジオネラ菌発生に関する実態調査の結果です。
レジオネラ属菌及び非結核性抗酸菌は、自然界や人工環境設備に広く生息している常在菌で、日常生活で接触する可能性が高いと言われています。
今までに専門家の先生が論文を発表されていますが、断片的な調査報告が多く総括的な調査は少ない状況です。

この度、平成12年5月18日、日本環境感染学会発行「環境感染 Vol.15,No.2,2000」に掲載された論文原著「環境中のレジオネラ属菌及び非結核性抗酸菌の分布調査」では、河川・湖沼・海水及び土壌等の自然環境、修景用水・温泉水・公衆浴場水・一般家庭用浴水及び24時間風呂浴水等の人工環境水、また、水道水と飲料水について、1998年6月〜1999年1月の8ヶ月間に、全国23都道府県から548検体を収集し幅広く調査された結果が報告されています。

調査の結果、レジオネラ属菌や非結核性抗酸菌は24時間風呂だけでなく、いろいろな環境に生息していることがあらためて証明されました。詳細は表1〜2及び図1〜2に示します。

また、公衆浴場法等に規定されている一般細菌数の調査では、105〜6(CFU/p)台の出現頻度で比較しますと、温泉水24%、公衆浴場水21%、一般家庭浴水40%に対し、24時間風呂浴水は僅か4.2%でした。大腸菌群数の陽性率を比較すると、温泉水71%、公衆浴場水26%、一般家庭用浴水43%に対し、24時間風呂は僅か2%でした。この結果から判断すると、24時間風呂は衛生的な商品といえます。

なお、平成9年10月、24時間風呂のレジオネラ属菌水質基準値を改訂し、お手入れの内容をより明確にし、会員各社が同一機種3件以上のモニターを登録して、長期に亘り時系列菌数変化を調査しました。その結果は表1記載の通り、浄化性能が大幅に改善しています。

表1 環境中におけるレジオネラ属菌分布状況
試料採取箇所
検査試料数
検出試料数
検出率(%)
検出個数(CFU/100ml)
水道水(16都道府県)
47
0
0.00
不検出
飲料用水(16都道府県)
9
0
0.00
不検出
河川水
33
4
8.80
1.0X102レベル
湖沼水
4
0
0.00
不検出
湧水
4
0
0.00
不検出
海水
5
0
0.00
不検出
土壌(12都道府県)
分析不能
修景用水(9都道府県)
32
6
18.8
4.8X10〜5.23
温泉水(6都府県)
21
10
47.6
1.2X10〜1.4X104
公衆浴場水(5都道府県)
19
4
21.1
1.4X10〜7.6X102
24時間風呂(3都県)
306
107
34.9
1.0X102未満(89検体)
1.0X102〜3(15検体)
1.0X103〜4(2検体)
24時間風呂モニター調査
(自主規格適合品)
機種総数:24機種
測定期間:30〜900日
555
91

14.15
1.08
0.54
0.73
不検出(83.6%, 464検体)
1.0X102未満(78検体)
3.0X102未満(6検体)
6.0X102未満(3検体)
6.0X102未満(4検体)
 文献:環境感染 Vol. 15 No.2.200
 ・24時間風呂自主基準:1995年7月厚生省生活衛生局企画課監修
  レジオネラ症防止指針の「望ましい範囲(1X102未満)」
 ・自主規格適合品の検出菌数 1.0X102以上の13検体は再検査後不検出
表2 環境中における非結核性抗酸菌分布状況
試料採取箇所
検体数
検出試料数
検出率(%)
Mycobacterlum 菌数
+(*)
++
+++
水道水(16都道府県)
47
0
0
0
0
0
飲料用水(16都道府県)
9
4
44.4
4
0
0
河川水・湖沼水・湧水・海水
(16都道府県)
45
23
51.1
20
3
0
土壌(12都道府県)
32
9
28.1
4
3
2
修景用水(9都道府県)
32
14
43.7
11
1
2
温泉水(6都府県)
21
7
33.3
5
0
2
公衆浴場水(5都道府県)
19
7
36.8
6
1
0
一般家庭浴水(3都府県)
37
16
43.2
16
0
0
24時間風呂(3都県)
306
46
15.0
45
0
0

文献:環境感染 Vol. 15 No.2.200
*厚生省監修微生物検査必携細菌・真菌検査第3版F90結核菌より:小川培地の集落数
   +:集落数が200未満のもの
  ++:大多数の集落には個々に分離しているが、一部融合しているもの。
+++:集落数が多く、初期には分離しているが、発育につれ、ほとんど融合するようになるもの。

図1 環境中におけるレジオネラ属菌分布状況(%)
図2 環境中における非結核性抗酸菌分布状況(%)
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